残業代の未払い?今すぐ確認

労働基準監督署への残業代相談【完全ガイド】

残業代の未払いは労働基準法違反です。 労基署への相談は無料で、匿名でも可能です。

最終更新:2026年2月|労働基準監督署残業代計算・労基残業代計算の完全解説

労働基準監督署(労基署)とは?

労働基準監督署(通称:労基署)は、厚生労働省の出先機関として全国に321署設置されている、 労働基準法の遵守を監督する国の機関です。残業代の未払い、違法な長時間労働、 不当解雇など、労働問題全般の相談を無料で受け付けています。

労基署の主な権限

  • 1.臨検監督:事業所に立ち入り、帳簿・書類を検査する権限
  • 2.是正勧告:法違反を発見した場合、改善を求める勧告書を交付
  • 3.是正指導:法違反ではないが改善が望ましい事項について指導
  • 4.送検:悪質な法違反に対し、検察庁に書類送検(刑事手続き)

労基署は単なる相談窓口ではなく、強制調査権を持つ行政機関です。 是正勧告に法的強制力はありませんが、従わない場合は送検(刑事罰)に進む可能性があり、 実際には多くの企業が是正勧告に従います。

こんなときは労基署に相談しましょう

以下に当てはまる場合は、労働基準法違反の可能性が高いです。 早めに労基署に相談することをお勧めします。

残業代が一切支払われていない

「うちは残業代が出ない」と言われている場合。管理職でも名ばかり管理職は残業代の対象です。

サービス残業が日常的にある

タイムカードを定時で打刻させられ、その後も働いている。自宅に仕事を持ち帰っている。

固定残業代の時間を超えて残業している

「月40時間分の残業代含む」と契約書にあるのに、毎月60時間以上残業しているが超過分が未払い。

深夜・休日の割増賃金が支払われていない

深夜(22時~5時)は25%増、休日労働は35%増の割増賃金が法律で義務付けられています。

給与明細に残業時間が正しく記載されていない

実際は月50時間残業しているのに、給与明細には20時間しか記載されていない。

残業代の計算方法がおかしい

基本給のみで計算されており、各種手当が残業代の計算基礎に含まれていない。

未払い残業代の概算を確認する

⚠️ 未払い残業代シミュレーター

過去分の未払い額を概算

時間
ヶ月

未払い残業代の総額(概算)

¥1,040,640

残業時給

¥2,168

月あたり

¥43,360

対象期間

24ヶ月

遅延損害金込

¥1,186,330

※ 遅延損害金は退職後の年14.6%を概算。在職中は年3%。実際の金額は法的助言を受けてください。

労基署への相談・申告の流れ【6ステップ】

1

管轄の労基署を確認する

労基署は会社の所在地を管轄する署に相談します(自分の住所地ではありません)。 厚生労働省のウェブサイトで全国の労基署の一覧と管轄地域を確認できます。

確認方法:

  • ・厚生労働省のサイトで「全国労働基準監督署の所在案内」を検索
  • ・会社の所在地の都道府県を選択して、管轄の労基署を特定
  • ・電話番号・住所・受付時間を事前にメモしておく
2

証拠を準備する

相談をスムーズに進めるため、残業の事実を証明する証拠をできるだけ多く集めましょう。 証拠が充実しているほど、労基署が調査に動きやすくなります。

集めるべき証拠:

  • タイムカード・出退勤記録のコピーまたは写真
  • 給与明細書(できれば過去2~3年分)
  • 雇用契約書(労働条件通知書)
  • 就業規則(給与規程・残業に関する規定)
  • 業務メール・チャット履歴(深夜や休日の送受信記録)
  • パソコンのログイン・ログオフ記録
  • 自分の残業メモ・日記(出社・退社時刻を毎日記録)
  • 同僚の証言(可能であれば)
証拠がなくても相談は可能
手元に証拠がなくても相談は受け付けてもらえます。ただし、 調査・是正勧告に進むためには何らかの裏付けが必要です。 今日からでも出退勤時刻を自分でメモし始めましょう。
3

未払い額を計算する

相談前に未払い残業代の金額を計算しておくと、相談がスムーズに進みます。 労働基準法第37条に基づく正しい計算方法で算出しましょう。

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月給と残業時間を入力するだけで、法律に基づいた正確な残業代を自動計算します。 計算結果は労基署への相談資料としてそのまま活用できます。

残業代を計算する(無料)
4

相談予約・電話相談

準備ができたら、労基署に連絡します。相談方法は主に3つあります。

方法1:電話相談

管轄の労基署に直接電話する。平日8:30~17:15が一般的な受付時間。

方法2:窓口相談(来署)

予約なしでも相談可能だが、事前に電話で予約すると待ち時間が短くなる。 証拠書類を持参するとスムーズ。

方法3:ほっとライン(夜間・休日対応)

平日の日中に相談できない方向けの無料電話窓口。

5

相談・申告する

労基署での相談には、「相談」と「申告」の2種類があります。 この違いを理解しておくことが重要です。

「相談」とは

  • ・一般的なアドバイスを受ける
  • ・法律の解釈を確認する
  • ・匿名でも可能
  • ・必ずしも調査に進まない

「申告」とは

  • ・労基法第104条に基づく正式な手続き
  • ・実名が必要
  • ・労基署が調査に動く根拠となる
  • ・申告理由の不利益取扱いは禁止
まず「相談」から始めてOK
いきなり「申告」でなくても大丈夫です。まず相談して状況を整理し、 担当者と話した上で申告に進むかどうか判断できます。
6

調査・是正勧告

申告が受理されると、労基署の労働基準監督官が会社に対して調査を行います。 監督官は法律に基づく強制調査権を持っています。

調査の流れ:

  • ・労基署が会社に出頭命令または立入調査を実施
  • ・タイムカード、賃金台帳、就業規則等を確認
  • ・法違反が認められた場合、是正勧告書を交付
  • ・会社は指定期日までに是正報告書を提出する義務

相談時に持参すべき書類一覧

労基署への相談・申告時に以下の書類を持参すると、対応がスムーズです。 すべて揃っていなくても相談は可能ですが、できるだけ多く準備しましょう。

必須レベル

  • 給与明細書(直近数ヶ月~2年分)
  • タイムカード・出退勤記録のコピーまたは写真
  • 雇用契約書(労働条件通知書)

あると有利

  • 就業規則・賃金規程のコピー
  • 自分で記録した残業メモ・日記
  • シフト表・勤務スケジュール
  • 業務メール・チャットの送受信記録(時間がわかるもの)

さらに強力

  • パソコンのログイン・ログオフ記録
  • ICカード(Suica等)の利用履歴
  • GPS位置情報の記録
  • 同僚の証言メモ
  • 会社からの残業に関する指示メール

申告後はどうなる?調査から解決までの流れ

正式な申告を行った後、以下のような流れで進みます。

1

調査の実施

労働基準監督官が会社に立入調査(臨検監督)を実施。タイムカード・賃金台帳等を確認し、従業員への聞き取りを行う場合もあります。

2

是正勧告書の交付

法違反が認められた場合、是正勧告書が会社に交付されます。未払い残業代がある場合、「遡って全額支払うこと」が命じられます。

3

会社が是正措置を実施

指定期日までに未払い残業代を支払い、是正報告書を労基署に提出。多くの企業がこの段階で支払いに応じます。

4

従わない場合 → 送検(刑事手続き)

是正勧告に従わない悪質なケースでは、検察庁への書類送検に進みます。労働基準法違反の罰則は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

知っておきたいポイント
是正勧告が出た場合、未払い残業代だけでなく遅延損害金(在職中は年3%、退職後は年14.6%)も あわせて請求できます。また、悪質な未払いに対しては付加金(未払い額と同額、つまり2倍)を 裁判所に請求することも可能です。

無料相談窓口:労働条件相談「ほっとライン」

平日の日中に労基署へ相談できない方のために、 厚生労働省が委託する無料の電話相談窓口があります。

労働条件相談「ほっとライン」

0120-811-610

受付時間:平日 17:00~22:00 / 土日祝 9:00~21:00

通話料無料。匿名OK。多言語対応あり(英語・中国語・ポルトガル語等)。

その他の相談窓口:

  • 総合労働相談コーナー:各都道府県の労働局・労基署内に設置。予約不要。
  • 法テラス(日本司法支援センター):0570-078374。弁護士への無料法律相談の紹介。
  • 都道府県の労働相談窓口:各自治体独自の相談窓口。

労働基準法第37条に基づく残業代の計算方法

残業代の計算は、労働基準法第37条労働基準法施行規則第19条に 基づいて行います。労基署への相談前に、正しい計算方法を理解しておきましょう。

基本計算式

残業代 = 1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間

1時間あたりの賃金は「月給 ÷ 月の所定労働時間」で算出します。 月給には基本給のほか、役職手当、資格手当、地域手当などを含みます。 ただし、家族手当、通勤手当、住宅手当など一部の手当は除外されます。

法定の割増率

種類割増率適用条件
時間外労働25%増法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた場合
月60時間超50%増月の時間外労働が60時間を超えた部分(2023年4月~全企業適用)
深夜労働25%増22:00~5:00の時間帯
休日労働35%増法定休日(原則週1回)に労働した場合
時間外+深夜50%増時間外労働かつ深夜の時間帯(25%+25%)
休日+深夜60%増休日労働かつ深夜の時間帯(35%+25%)

計算例

月給:25万円(各種手当含む、除外手当を除いた額)

月の所定労働時間:160時間

1時間あたりの賃金:250,000円 ÷ 160時間 = 1,562.5円

月の残業時間:40時間の場合

残業代 = 1,562.5円 × 1.25 × 40時間 = 78,125円

※深夜・休日労働がある場合はそれぞれの割増率で別途計算します。

正確な計算にはZanCalcをご利用ください
深夜割増、休日割増、月60時間超の割増を含む正確な計算は複雑です。ZanCalcの無料計算ツールなら、月給と残業時間を入力するだけで自動計算できます。

よくある質問(FAQ)

労基署への相談は本当に無料ですか?

はい、労働基準監督署への相談は完全無料です。電話相談、窓口相談ともに費用は一切かかりません。労基署は厚生労働省が管轄する国の機関であり、労働者の権利を守るために設置されています。弁護士に依頼する場合は費用がかかりますが、労基署の利用に費用は発生しません。

匿名で相談できますか?会社にバレませんか?

相談の段階では匿名で相談可能です。電話相談や窓口での一般的な相談であれば、名前を明かす必要はありません。ただし、正式に申告(労働基準法第104条に基づく申告)を行い、会社への調査・是正勧告を求める場合は、実名での申告が必要です。なお、申告した場合でも、労働基準法第104条第2項により、申告を理由とした不利益取扱い(解雇・減給など)は禁止されています。

残業代の時効は何年ですか?

2020年4月の労働基準法改正により、残業代(賃金)の請求権の消滅時効は3年に延長されました(経過措置として当面3年、将来的に5年)。つまり、過去3年分の未払い残業代を遡って請求できます。時効が成立する前に、できるだけ早く行動することが重要です。なお、遅延損害金(年3%、退職後は年14.6%)も合わせて請求できます。

労基署に相談してから解決までどのくらいかかりますか?

案件の複雑さにより異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

相談から調査開始まで:数日~数週間
調査から是正勧告まで:1~3ヶ月
是正勧告から支払いまで:1~2ヶ月

合計で2~6ヶ月程度が一般的です。ただし、会社が是正勧告に従わない場合や、悪質なケースでは送検手続きに進むため、さらに時間がかかることがあります。

固定残業代(みなし残業代)をもらっていますが相談できますか?

はい、固定残業代を超える残業をしている場合は相談できます。固定残業代(例:月40時間分の残業代を含む)は、あくまでその時間数までの残業代です。実際の残業時間が固定残業代の対象時間を超えている場合、超過分の残業代は別途支払われなければなりません。また、固定残業代の制度自体に問題がある場合(就業規則に明記されていない、基本給との区分が不明確など)は、固定残業代が無効となり、全額が残業代の計算対象になるケースもあります。

労基署への相談以外に残業代を請求する方法はありますか?

はい、いくつかの方法があります。

1. 会社への直接請求:まず人事部門や経営者に未払い額を提示して支払いを求めます。
2. 労働組合への相談:社内の組合や、個人加入できるユニオン(合同労組)に相談する方法です。
3. 労働審判:裁判所で行う簡易的な手続きで、原則3回以内の期日で解決します。費用は数千円~数万円程度です。
4. 弁護士への依頼:残業代請求に強い弁護士に依頼する方法です。着手金無料の成功報酬制を採用する事務所もあります。

まずは労基署(無料)に相談し、解決しない場合に他の方法を検討するのが一般的です。

まずは残業代を計算してみましょう

正確な未払い額を知ることが、解決への第一歩です。 ZanCalcなら月給と残業時間を入力するだけで、法律に基づいた残業代を無料で計算できます。